(特許実務メモ)EESR段階では基本的に審査官インタビュー不可

EESR段階での審査官インタビューは、断られる場合が多いそうです。

でもために受け入れてもらえるケースもあるようです。

せっかくなので調べてみました。

 

Guidelines for Examination B VII 1.1

Contact between the applicant and the search division 

Telephone conversations and informal interviews with the search division can only take place after the application has entered the examination stage, with the exception of cases indicated in B‑VIII, 3.2.2 and 4.2.2, and regarding issues related to the timing of the drawing up of the search report.~~~

(雑訳)審査部による電話応対および非公式のインタビューは、 B‑VIII, 3.2.2 および 4.2.2に記載されたケース、並びにサーチレポートを起案する時期に関連する事項を除き、出願が審査段階に移行した段階ではじめて行い得る。

 

というわけで、EESR段階では基本的にインタビューは認められないようです。

では、 B‑VIII, 3.2.2 および 4.2.2を見てみましょう。

 

まず、 B‑VIII, 3.2.2 について、B-VIII,3は、有意義なサーチが行えない場合について規定しています。

3. No meaningful search possible

3.2.2.  Reply in time 
~~~
  A telephone consultation may take place if the applicant phones the search division to enquire about the course of action after an invitation under Rule 63 has been sent. The consultation is limited to formal issues concerning the content of the invitation and the options available to the applicant. ~~
 
(雑訳)出願人がRule63の適用に基づく運用について質問するために審査部に電話してきた場合、電話相談を行うことができる。相談は、invitationの中身、および出願人に認められるオプションに関する形式的な事項に限られる。
 
つまり、B‑VIII, 3.2.2 の場合の例外とは、Rule63の不完全なサーチについて、
審査部に形式的・手続き的な質問ができますよ~ってことですね。
 
次に、B‑VIII 4.2.2の場合を見ていきます。B-VIII,4は、一カテゴリーに複数の独立クレームが設けられている場合について規定しています。
4.2 .2  Reply filed in time 
~~The applicant may phone the search division in order to enquire about the course of action after an invitation under Rule 62a has been sent, as explained above for the invitation under Rule 63 (see B‑VIII, 3.2.2).
 
(雑訳)出願人は、Rule 62aの適用に基づく運用について、Rule63で説明したような質問( B‑VIII, 3.2.2参照)をするために、審査部に電話することができる。
 
つまり、B‑VIII, 4.2.2 の場合の例外とは、カテゴリ毎にどの独立クレームに対して先行技術サーチを行うべきかについて求められたときに、
審査部に形式的・手続き的な質問ができますよ~ってことですね。
 
つまり、記載不備や進歩性欠如を解消するために、
審査官とやりとりして~~っていうのは、EESR段階では原則的には認められない、
っていうことみたいです。
ただし、周りの弁理士に聞いてみると、上記例外に当てはまらなくても、インタビューが認められる場合もあるようです。
 

(特許実務メモ)別カテゴリーの請求項に従属している請求項の扱い(EP,US)

別カテゴリーの請求項に従属している請求項は「独立請求項」なのか?

 

⇒EPでは「独立請求項」扱い

根拠:ガイドラインF-IV, 3.8に記載あり。

 

A claim containing a reference to another claim is not necessarily a dependent claim as defined in Rule 43(4). One example of this is a claim referring to a claim of a different category (e.g. "Apparatus for carrying out the process of claim 1 ...", or "Process for the manufacture of the product of claim 1 ..."). 

「(雑訳)他請求項を引用している請求項が、必ずしも Rule 43(4)で規定する独立請求項となるわけではない。このような請求項の一例として、別カテゴリーの請求項に従属している請求項があげられる(例、”請求項1に記載の方法に用いる装置であって、~””、または”請求項1に記載の物の製造方法であって、~”)。」

https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/guidelines/e/f_iv_3_8.htm

 

⇒USでは「従属請求項」扱い

根拠:  "MPEP 608.01(n) Dependent Claims, Part II". USPTO.gov. USPTO.に記載あり。

 

The fact that the independent and dependent claims are in different statutory classes does not, in itself, render the latter improper. Thus, if claim 1 recites a specific product, a claim for the method of making the product of claim 1 in a particular manner would be a proper dependent claim since it could not be infringed without infringing claim 1. Similarly, if claim 1 recites a method of making a product, a claim for a product made by the method of claim 1 could be a proper dependent claim.

「(雑訳) 独立請求項および従属請求項が、異なる法上の分類に属すること自体によって、従属が不適切と扱われるわけではない。したがって、請求項1が特定の物を特定している場合、請求項1に記載の物の製造方法の請求項は、適切な従属請求項である。

同様に、請求項1が物の製造方法を特定している場合、請求項1の製造方法により製造された物の請求項は、適切な従属請求項である。」

https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s608.html#d0e45256

 

EP、USどちらも、独立請求項or従属請求項で料金やカテゴリー毎の数が規定されているため、判断基準が明確です。

JPはというと…独立請求項か従属請求項かによって料金変わったりしないので、

特に定めなしです。

 

 

弁理士になった後…実務をストレスフリーで身につけるには?!

弁理士になった後、いよいよ実務に興味を持って、転職を急がれる方も多いかと存じます。

でも、特許事務所に転職しても、

・実務教えてもらえない

・そもそも非技術部門から移動させてもらえない、

・指導という名のパワハラにあう(意味もなく貶されるだけ)、

・査読者にミスリードされた挙句、全て自分のせいにされる、

など、ろくなことがなかったりします(事実)


そこで、特に企業勤務の方へのアドバイス

ストレスフリーに実務を身につけるためには

「企業の知財部に入り、

特許事務所に“研修”に行かせてもらうのが

一番良い‼️」


そう、この企業の方の“研修”の受け入れ、

事務所の新人にとっては大変モヤモヤする制度です。

事務所の新人にロクに指導していないのに、

“お客様”には手取り足取り、特別時間と労力をかけて“優しく”指導がされます。

そして、“お客様”のために、何年ぶりかの“所内研修”が開催されます。

そう、愚かしいですが、特許事務所にとっては、一新人よりも、“お客様”の方が大事なんです。“お客様”にいい顔するために、新人がいつもより多めに“ご指導”受けるのも風物詩です。

顧客は事務所の新人を露骨に排除するくせに

顧客側の新人は、受け入れるよう強要してくるんです。

特許事務所と顧客の関係なんてろくなもんじゃないです。そして事務所の新人にも教えないノウハウがお客様に伝えられるんです。ストレスもなく。特許事務所のノウハウがいかに軽んじられているかわかります。

だから!逆に企業側の方は事務所に研修でもして、ストレスフリーに実務教えてもらうことをお勧めします!

実務修習を終えて…課題の落とし穴など

2/8付けで実務修習を終えました。

所感としては…

・無駄なグループワークの嵐

・講師はだいたい時間持て余してる

・グループワークのメンツは毎回ほぼ同じ。

なので個人攻撃してくるメンバーがいた場合、念仏を唱える位しかやることがない、

・課題も(実務やってる人はいいけど)実務上当たり前の型を教えずに課題提出させ、

集合修習で(講師が自分で考えたわけではない)型を種明かししてその通りに再提出するだけなので、本当の意味のケーススタディじゃない、(型を知ってるかがカギ)

…って感じです。

主催側も、これら修習の問題点に気づいて欲しいです。なのでアンケートはしっかり目に書きました。

口述試験で、時間があまったときに「何回受験してるか?」などの不適切な質問で時間潰さなくなったのと同様、

(無駄ですよね?うちの事務所では仕事薄っぺらい事務坊とかが「一発合格」してますよ?それって「凄い」の?)

改善されることを祈ります。


最後に、実務修習課題の落とし穴など?

・意匠

「断面図」と「端面図」の違いに注意っ!

・商標

結合商標が一体不可分だと主張するときには、

1)外観上の一体不可分性

2)称呼上の一体〜

3)観念上の一体~

を論ずる。



文系弁理士は実務修習でどの科目(機・電・化)を選択すべきか?

私の周りでは、文系だと機械系を選択されてる方が多いです。技術的に理解しやすいから〜と言われているそうです。はたして文系の選択として機械が一番適切なんでしょうか?


全科目の課題見るかぎり、どの科目でも専門知識はほとんど必要ない課題になっていると個人的には思います。だから、「電気・化学は技術的にわからないかも」とは思わずに、好きなものを選択されればよいと思います。


なので、事務所で働いてる方or知財部で働かれている方は、自分の担当に関連する分野を選ばれるとよろしいかと思います。


特に担当している分野がない…という方でしたら、本当に好きなように選ばれるといいと思います。


個人的には機械系は決して易しくないと思います。発明自体は理解しやすくても、言葉で表現するのが非常に難しい分野だと考えるためです。


化学系の課題も、化の知識全然なくても解けるように作られていたので、文系の方でもチャレンジしやすいように思います。今回の課題を見る限りでは、化学系も結構おすすめできます。

弁理士実務修習の所感

実務経験については口外厳禁なので、内容については触れられませんが、所感だけお伝えしますと…


・多少トリッキーでも論理的に正しい内容を書けば、講師(採点者)は理解してくれます。

(設問の誘導に乗らなくても、論理的にあってればok)

(理解されないかも…?とは思わなくて大丈夫)

・完全初心者の方の中にはきついと言っている方もいます。

・機械系には厳しい先生もいらっしゃるそうです。

(機械系の方が再提出率がたかそうです…)

・名刺は必須(せっかくなので)

・あとは基本グループディスカッションなので、メンツ次第(運次第)


顧客にわかって欲しいのか?

先程のエントリーに記載したように、はっきり言って顧客は何も分かってないです。

弁理士会の登録前実務修習でも

「顧客が何も分かってないからって、手抜きするのはダメだよ〜」

という、企業知財側からすると耳の痛いであろうことを講師の先生が話されていました。


じゃあ顧客に特許を分かって欲しいかというと、すべて分かられてしまうとそれはそれで代理人の存在価値なくなってしまうと思うので、

「自分じゃできないけど、こっちの工夫(凄さ?)はわかる程度に」分かってて欲しいです。

また、知財部の皆様、「明細書の良し悪し」については、「実質的な内容」をチェックされることをお勧め致します。

「本発明」使ってない、「手段」使ってない、等のいわゆる「カラオケ的な」判断基準では何も分かりません。カラオケ的な判断基準ばかりに気を取られていると、まさにカラオケと一緒で、点数高くても何にも使えない明細書が出来上がるものと存じます。